英語版(English)https://youtu.be/rm-HnpyCetU
上川陽子外務大臣会見記録(要旨)
《令和6年6月4日(火) 16:22~16:38 於:本省会見室》
【主な項目】冒頭発言:セミナー「Well-beingの視点から考える『人口と開発』」での大臣講演
【質疑応答】
◯ガザに関するG7首脳声明
◯ウクライナの平和に関するサミット
◯インド総選挙
◯「佐渡島の金山」の世界遺産登録
◯中国人による靖国神社の石柱への落書き
◯「パンデミック条約」
◯国際保健規則(IHR)の改正
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◯冒頭発言:セミナー「Well-beingの視点から考える『人口と開発』」での大臣講演
【上川外務大臣】私(上川大臣)から1件ございます。
先ほど、アジア人口・開発協会主催のセミナー「Well-beingの視点から考える『人口と開発』」に出席いたしました。
少子高齢化や人口減少といった課題がある中で、「身体的・精神的・社会的に良好な状態」を意味するWell-beingは、人材を引きつけ、高い付加価値を生み出すために、極めて重要な視点であります。この観点から、セミナーにおきまして、私(上川大臣)から、日本のWell-beingの取組について紹介をいたしました。
また、Well-beingの概念は、SDGsを含め、国際社会全体の持続可能性の確保の取組においても重要と考えます。地球規模課題が深刻化する中、SDGsの達成に向けた取組の加速化とともに、SDGsの期限年であります2030年以降も踏まえながら、Well-beingを含め、国際社会における議論をリードしてまいりたいと考えております。
今般、私(上川大臣)の下に、「国際社会の持続可能性に関する有識者懇談会」を立ち上げ、2030年以降も見据えながら、我が国自身の持続的成長と、国際社会全体の持続可能性の確保に向け、我が国として、国際社会をいかにリードしていくかにつきまして、議論を開始したところであります。このことも併せて、セミナーで御紹介をしたところであります。
私(上川大臣)からは以上です。
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◯ガザに関するG7首脳声明
【朝日新聞 松山記者】中東情勢について伺います。米国のバイデン大統領が示された停戦案について、G7は支持する共同声明を昨日発出されました。共同声明を出すことになった経緯を教えてください。
あと、イスラエルのネタニヤフ首相は、この停戦案が、イスラエルにとって十分なものではないという趣旨の発言をしたという現地報道もありますが、この停戦案の履行に向けて、今後、日本としては、どのように働きかけていくのかも併せてお願いします。
また、来週には、G7首脳のサミットが開かれますけれども、こちらでの中東情勢に絡んだ共同声明、成果について、どのようなものを期待するかも併せてお願いします。
【上川外務大臣】まず、声明を出すに至った経緯ということで、ご質問いただきました。
現地時間5月31日、バイデン米大統領は、演説におきまして、イスラエル・ハマス間の人質の解放や、また、停戦をめぐります交渉につきまして、イスラエルが包括的な交渉案を新たに提示したと発言をしたところであります。
今般、G7の議長国でありますイタリアから提案がありまして、この新たな交渉案をG7として後押しを押しつつ、ハマスに、この案を受け入れるよう求めることなどを内容とする首脳声明を発出するに至ったところであります。
この履行に向けた日本の働きかけというご質問でありますが、人質となりました人々、また、ガザのパレスチナの人々を取り巻く深刻な人道状況を考えれば、残された時間は限られていると考えております。既に、6月2日に、私(上川大臣)から談話を発出したところでありますが、全当事者に対しまして、この機会を捉えて、人質の解放と持続可能な停戦の実現に向けて取り組むよう求めたところでございます。
引き続き、我が国といたしましては、この交渉の仲介国であります米国、カタール、またエジプト等とも緊密に連携をしながら、人質の解放と停戦が実現することができるよう、関係国への働きかけを含めまして、引き続き、外交努力を粘り強く積極的に行ってまいる所存でございます。
来週イタリアで開催されますG7プーリア・サミットにおきましても、このガザを含みます中東情勢について、首脳間で議論が行われる予定でございます。引き続き、G7が連携して対応する、このことを確認する機会としたいと考えております。
◯ウクライナの平和に関するサミット
【読売新聞 上村記者】スイスで開催予定の、ウクライナ和平のための平和サミットについてお伺いします。先日、シンガポールで開催されたシャングリラ会合の際に、ウクライナのゼレンスキー大統領は、この平和サミットに参加しないように、中国が各国に働きかけを行っていると発言しました。お伺いしたいのは、こうした働きかけ、中国からの働きかけが、日本にもあったかどうかということと、このゼレンスキー大統領の発言に対する所感を、併せてお聞かせください。
【上川外務大臣】2日、ゼレンスキー大統領は、シンガポールで開かれましたアジア安全保障会議の中におきまして、中国は、他の国々に対し、平和サミットに参加しないよう働きかけを行っている旨述べたと承知しております。
この点、中国側は、同2日、まず、本サミットに中国として参加しない方針、そして更に、本サミットの方向性について、関係者に懸念を既に伝達した旨、対外的に発表しているものと承知しております。
ロシアによるウクライナ侵略への対応に関しましては、本件も含めまして、中国とも、平素から様々なやり取りを行っているところでございます。
本サミットにおきましては、公正かつ永続的な平和の実現に向けたこのウクライナの取組を、国際社会が支持する姿を示すために重要な会議でありまして、中国が参加しないことは、残念であると考えております。
我が国といたしましては、引き続き、グローバル・サウスを含みます各国と連携をし、中国にも責任ある対応を強く求めていきながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
◯インド総選挙
【NHK 五十嵐記者】インドの関連で伺います。1か月半にわたって投票が行われたインドの総選挙は、4日開票が行われ、高い経済成長を実現したとアピールするモディ首相率いる与党が、異例の3期目となる長期政権を維持するのか、有権者の判断が、注目されています。この選挙に対する受け止めや、日印関係についての外交方針を伺います。
【上川外務大臣】まず、4月19日から全7回に分けまして、投票が実施されたこのインドの下院総選挙についてでありますが、6月1日に最後の投票が実施されたと承知しております。
本日4日に、開票が一斉に実施されているところと承知しておりますが、他国の内政に関する事項につきまして、日本政府として、コメントすることについては差し控えさせていただきます。
いずれにいたしましても、インドは、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた重要なパートナーでありまして、今後とも、日印関係の強化に、引き続き、取り組んでまいりたいと考えております。
◯「佐渡島の金山」の世界遺産登録
【毎日新聞 森口記者】世界遺産登録についてお聞きします。日本が世界遺産登録を目指す、新潟県の「佐渡島(さど)の金山」について、近くイコモスの調査結果が勧告されることが見込まれます。韓国国内では、強制労働があったとの反発の声もあります。改めて、登録に向けて、どのように理解を求めていくか政府の姿勢を伺います。そして、また、外務省は「佐渡島の金山」の世界遺産登録の手続に関しては、世界遺産委員会のコンセンサスによる意思決定を基本としていて、当事者間での事前の対話が必要だとの考えを示されていますが、韓国側との対話の状況を伺います。
【上川外務大臣】我が国は、「佐渡島の金山」の世界遺産登録実現に向けまして、その文化遺産としての素晴らしい価値が評価されるよう、韓国との間におきましても議論を行ってきているところであります。
韓国との対話の状況につきましては、外交上のやり取りということで、つまびらかにすることについては差し控えさせていただきますが、引き続き、誠実かつ不断に、丁寧な議論を行ってまいりたいと考えております。
◯中国人による靖国神社の石柱への落書き
【産経新聞 原川記者】靖国神社の石柱に赤いスプレーで落書きがされるという事案があって、警視庁がそれを行った容疑者、それを行った疑いがあるとして捜査対象にしていた中国籍の男が、既に中国に向け出国したと、こういう一連の事案があるんですけれども、これに関してお伺いします。こうした靖国神社、宗教施設に対する、こうした落書きというのは、宗教に対する冒涜行為であると言えると思うんですけれども、この不良中国人、今回は不良外国人の中でも不良中国人ですけれども、今回のような行為について、どのように、大臣、思われたかいうこと、そして、本件について、外務省が、何か対応されるというようなことはありますでしょうか。この2点について、お聞かせください。
【上川外務大臣】まず、御指摘の事案でございますが、これは、我が国の関係法令に反すると思われる行為でありまして、そうした行為を是認・助長するような動画が作成され、拡散をされるようなことは、受入れられるものではないと考えております。
そうした観点から、本事案につきましては、外交ルートを通じまして、中国政府に対し、事案の発生に対する懸念を表明するとともに、中国政府から中国国民に対しまして、現地法令の遵守や、また、冷静な行動をとるよう、注意喚起をすることを要請したところでございます。
◯「パンデミック条約」
【フリー・ジャーナリスト 高橋氏】「パンデミック条約」についてお尋ねします。1日まで開かれていたWHO年次総会で、「パンデミック条約」は反対する国が多く合意に至りませんでした。我が国でも、5月31日、日比谷公園で、1万人以上が参加する抗議集会が開かれるなど、反対意見が多いようです。上川大臣は、この反対集会をどのように受け止めますか。それから、日本政府として、今後この条約案にどのように向き合っていくお考えでしょうか、お聞かせください。
【上川外務大臣】いわゆる「パンデミック条約」でありますが、様々な意見があるということは承知しておりますが、WHOのホームページに公開されている条文案につきましては、ワクチンの強制接種や、また国家主権の制限について懸念を生じさせるような内容は含まれていないと承知しております。また、これまでの交渉におきましても、そのような内容の議論は行われておりません。
新型コロナウイルス感染症のような世界的な健康危機に対しましては、国際社会が一致して対応する必要があります。パンデミックに対する予防、また、備え、そして、対応の強化に資する国際的規範を作ることが重要であると考えております。日本政府としては、このような取組に、引き続き建設的に参加をし、貢献してまいりたいと考えております。
また、今後とも可能な限り、国民の皆様に対して、丁寧に、正確な情報提供に努めてまいります。
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(続きの文字情報は、 https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaikenw_000001_00055.html をご確認ください。文字情報として全文記載しています。)
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